明暗

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「はぁ…なんで私まで…」

あれから半年。

玉狛ではオリジナルトリガーの調整として仮想戦闘室で桐絵や京介の相手をしていた。

「開発者の責任…かな?俺は嬉しいけど…」

京介の言葉に溜息をついてしまう。

「桜、陽介来たよぉ〜」

宇佐美…栞先輩から声がかかる。
陽介先輩は栞先輩の従兄妹だったらしい。

「わかった。京介も一緒に行くでしょう?」

「あぁ。」

気づけば高校に入っていた。

京介はアルバイトを始めて、ボーダーの褒賞もほぼ家に入れてるらしい。

私は嫌々ながらに迅の専属オペレーターになった。








「陽介先輩!おはよう!」

私と京介と3人で学校に行くのが当たり前になった。

「おう。秀次は学校に先に行ってるぞ。」

「よう、桜!後で打ち合わせな。」

そこにやって来た迅に捕まる。

「はいはい。」

適当に頷くと陽介先輩と京介の腕を掴んで学校に向かう。


午後になると、ボーダーからのアラートが鳴る。

最近、市街地に穴が開くことが続いている。


「はぁ…最近多いなぁ…」

溜息をつくと、学校の屋上から遠くに近界民のトリオン兵が見える。

「嵐山隊が動くらしい。」

秀次先輩の言葉に、私達は緊張を解く。

そこに私は嵐山隊とは違うトリオンを感じる。

私のサイドエフェクトはトリオンの質を分析することらしい。
最近気づいた。

「京介、ごめん、早退する。」

私に驚きながらも、迅の相方になってから自由気ままに動くことが増えたせいか、溜息混じりに頷く。

「戻れるなら戻れよ。」

陽介先輩の言葉に私は頷くと、トリガーを取り出す。

「トリガーオン!」

隊服に身を包み、トリオン兵の場所を目指す。










「あら、迅から電話なんて珍しい。」

トリオン兵のいる中学校の側で電話がなり、とりあえず立ち止まる。

『いや、多分そのトリオン兵は問題ないぞ?』

「迅が言うならそうかもしれないけどね。いつもと違うトリオンなんだよ。A級やB級の奴らじゃない。」

『あぁ、それね。多分C級の子だからじゃん?』

迅の言葉に眉をしかめてしまう。

「隊規違反じゃない。止めないの?」

『いや、彼の活躍が必要なんだ。放っておいて。』

また、未来予測か。

「了解。じゃあ戻るかな。」

『おう。夜あたりに本部に呼ばれる予定だから付き合ってくれ。』

この呼ばれる事に恐らく、このC級隊員が関わるんだ。

「はいはい。陽介先輩とランク戦でもしてるわ。」

そう言って電話を切り、学校へと戻った。









「早いお帰りで。」

陽介先輩の言葉にしかめっ面をする。

「迅からの指示よ。仕方ないから、今日は陽介先輩とランク戦するわ。
夜に本部に呼ばれる予定らしいから。」

私の言葉に満面の笑みで喜ぶ。

「桜、帰りは一緒に帰ろう。俺も陽介先輩とランク戦して待ってるから。」

京介の言葉に陽介先輩の顔は輝いている。

「どうせ迅さんは忙しいだろうから、夜道は1人になって危ない。」

京介の優しさだと知り、嬉しくなる。

「ありがとう。今夜はコンビニでお弁当奢るよ。」

「同じ支部って羨ましいなぁ…楽しそう…」

陽介先輩の言葉に笑う私と京介。








そんな日常から、夜には引き剥がされた。
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