novel

□消失
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『Fade to black_君の名を呼ぶ_』の妄想ネタです
「我等が」の続編っぽいものです





尸魂界









三番隊隊舎





今日は隊舎が静かだ


…まぁ、いつも騒がしいわけでは無いけど

何か違うんだ、いつもと。




例えるならそう……色が無い

白と黒だけの世界


今日は、何か色が足りない……





「あぁ、……そうなんだ…」





今日はまだ居ないんだ

橙の明るい髪の子

そういえば来てないな…珍しい


この時間帯なら、そろそろ来てもいい頃なのに…




バタン




扉が乱暴に開けられる




――ああ、やっと来た




そう思い、安心した

扉に目を向ける





「オーイ、吉良。居るか?書類届けに来たぜ」




そこに居たのは




鮮やかな橙ではなく





「………え…」

「?……どうした、吉良…?」





阿散井君の紅だった




今日は来ないのかな、____…





「おい吉良、どうしたんだよ、大丈夫か?」





あれ、彼の名前…





「……吉良?」





ああ、そうか。

阿散井君に聞けば早いじゃないか

彼と仲が良いようだから





「阿散井君」

「あぁ?なんだよ、吉良」

「あの…死神………あれ、あの……阿散井君と仲の良かった旅禍……。
彼って、名前なんだっけ…?」





あれ……彼の特徴って…

鮮やかで明るくて、温かくて、綺麗な色…

何だっけ…あれ…?





「なんだ、吉良。そんな事で悩んでんのかよ
俺と仲良かった旅禍って、お前んとこよく来てたじゃねぇか。まだ名前覚えてねぇのか?」

「いや…急に思い出せなくなっちゃってさ………」

「あー、なんだ、そうか。
アイツはな………あいつは……」





そこで阿散井君は、考え込むように俯いた

阿散井君の霊圧が揺れている


…まさかと思うけど





「………阿散井君…?」

「………………あいつ…って、…誰だ……?」





そう呟きながら顔をあげた阿散井君は

恐ろしい程青ざめた顔をしていた





「え……君も分からないのかい?」

「あぁ………嘘だろ…。あいつ……」





阿散井君と仲の良かった旅禍



正直言って、阿散井君は彼の事を好きと思っているのかと考えた事もある

それ程に、彼と阿散井君は仲が良かったのに…

朽木女史を救う為に、その旅禍に加担した程なのに……





「あいつ…」

「…………彼の名……」




解らない
(彼の名は……彼は誰だ…?)








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