novel
□消失
2ページ/3ページ
・
がらっ
「……只今戻りました、隊長…」
恋次が三番隊隊舎から戻ってきたのを目で確認し
書類に目を戻す
だが、何かが引っ掛かり、また恋次へと視線を向けると
行く時は普通の表情だった恋次が
今は顔面蒼白になっているのに気付く
「吉良に書類を渡してきました…」
そう言った恋次は自身の机へとつき
深い溜息を吐いた
「…………どうしたのだ…」
そう問うと、恋次は視線を一度こちらに向け
「…いえ、…何もないです……」
そしてまた俯いた
どうしたのだ、恋次は……
「恋次………、あやつはどうした」
「………あいつ…?」
「貴様が探してくると言い、書類を持って行ったのであろう」
「そうだ…………。隊長…、そいつの名前って…何でしたか…?」
「恋次、貴様解らぬのか…?……あやつの……名は………あやつの………名………____…?」
そこまで言い、気が付く
あやつの名……名が解らぬ…………
あやつは…____
呼びたい名は何だ?
(あやつの名は…____。空白が埋められない)
・