novel

□サヨナラの詩
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スクロール頑張って下さい











「おにぃちゃーん。学校遅れるよー!」


「おぅ、ちゃんと起きてるって!」







いつも通りに

クセになっているようで

今日もポケットに代行証を持って

学校へ行く







「一護、またそれ持ってるね」

「ん、あぁ。これか……まぁな」

「誰から貰ったの?」

「?…なんで、貰い物って分かったんだよ」

「だって、一護そんな趣味じゃないでしょ。だから貰いものかなって」

「これは…その……。仲間達からもらった」







以前、水色から聞かれた問いにそう答えた時

『仲間』という言葉を言って、虚しくなった


もう、その仲間とは会えないというのに







いっそ代行証なんて捨ててしまおうと

一度考えた




だけど、死神だった事を証明するものは、

オレにはこれしか無くて





やっぱり、捨てられなかったんだ






















こんなものが無ければ



オレは今日も一人だと



思い知らされる事なく生きていけるんだろう








だけど、これがあるから


今日もこの世界のどこかに


アイツ等が居て、今も虚と戦っている

その事を忘れないでいれるんだ

















たまに代行証を見ていると


今にも鳴り出すかのように思えて

また死神に戻れるんじゃないかと思えて




そう考えたら




哀しくなる、虚しくなる、    寂しくなる
















代行証は、オレが死神だった事を証明する唯一のものだ





恋次と喧嘩した事も

白哉と戦った事も

尸魂界に旅禍として乗り込んだ事も

藍染を倒した事も、何もかも




このたった一つのものでしか

証明出来ないんだ










代行証という証拠品を

いつも持ち歩いているような、変な気分だ








今でも名前が覚えられなかった人達も

この代行証が思い出させてくれて


オレよりも、オレの事を知っているみたいで、不思議になる













こんなものが無ければ

今日もアイツ等が居ない事を


思い知らされる事無く生きていけるんだろう







こんなものがあるから

忘れていい事

忘れてしまいたい事

哀しい事

楽しかった事



全て何ひとつ失くせず


いつまでもオレの記憶に残っている









だけど  だからこそ    オレは今日も持ち歩くんだ























見えもしない


聞こえもしない









アイツ等の存在。









どこかにアイツ等がいるであろう世界でオレは

今日も一人で生きている































こんなものが無ければ


今日もアイツが居ない事




アイツと確かに居た事


すぐ隣に居た事


一緒に戦った事


一緒に笑った事


喧嘩した事


触れ合った事






そんな色んな事全部

オレとアイツの全てを


無くせそうにも無い事

忘れそうにも無い事














だけどこれがあるから



   こんなものがあるから









今日もどこかにいるアイツのほんの少しだとしても


その中のどこかに

オレという存在があるんだろう









































こんなものがあったから
オレは恋次を愛せたんだ










♪RADWIMPS/携帯電話

スクロールお疲れ様です



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