novel
□泪の理由
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「さらばだ、一護…」
そう言って送り出した一護の霊圧を感じなくなった後
世界からは
何ひとつとして音がしなかった
一護が
死神ではなくなったからだ
「………私は…」
私は、一護を護れなかった
護る為に力を貸していた筈だった
だが、その力を使えなくなる程の技を
一護に教えてしまった
物音ひとつしない世界。
孤独
嗚呼、なんて虚しいのだろう
一護よ、聴こえるか
お前の世界の
陸には
鳥と獣
お前の泪の中
そこにいる私は
まるで魚のようだ
嗚呼、一護
泣くな
お前が泣けば
この世界が荒れ、泣き叫ぶ
その世界で一人にいる孤独を
お前は分かるだろうか
「泣くな、一護…」
泪の理由
それでも雨は降り止まない
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