novel

□君の涙なら美しいと思ったんだ
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(一護視点)



今の状況で一番に思い出したのが
母さんの事だった。

まだ、ガキだった自分にとって
あの時の事は、きっと一生消えない傷なんだと思う。
今でも、夢に母さんが出てくる。
そんな時、目が覚めると必ず
自分の無力さを思い知らされるんだ。

あの時を事を思い出すと
胸にふつふつと湧き上がる感情は
多分悲しみよりも、もっともっと暗くて重くて
『悲しみ』なんて四文字じゃ表せれない位に
今の自分には重すぎた感情。

そんな時、必ず目頭が熱くなる。




次に思い浮かぶのが死神だった時の事で
毎日が必死だったから、その時に気付けなくても
後に気付くことが沢山あった。

あの時、オレの霊圧が低かったら
きっと家族は虚に傷つけられなかったんだろう。

だけど、オレの霊圧が低かったら
きっと今のオレは居なくて
ルキアにも、恋次にも岩鷲にも花太郎にも…
他にも大勢いる沢山の死神達と一緒に戦う事は出来なかったんだろう。


あの時、オレが…。

早く気付いていれば
この感情を早く認めていたら


オレはもっともっと長い時間を
恋次と一緒に過ごせたんだろう


気付くのが遅すぎて
認めるのが怖すぎて
ずっと逃げていた。

あの時恋次がオレの事を思っていなかったら
オレは一生、後悔してたんだろうと思う。

伝えたとしても
逢えない今となっては
何も意味はない




オレには今、力が無い。


仲間を守る力が
戦場に立つ力が
自分で進む力が

恋次と並んで
戦える力が…。




今はもう
逢えない






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