庭球部屋

□本音は心の中に
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※原作36巻&40〜42巻流し読みのみで、前後関係分からずに勢いで書いたので、設定というか、色々適当です…その辺りはご勘弁を(>_<)














 穏やかな外見の中に秘めた闘志。


それを見た時から惹かれ始めていた。


『あいつが欲しい!』


テニス以外でこれ程に何かを欲したのは初めてだった。








 全国大会が終わった翌日、白石は不二の元を訪れていた。


「この前の試合、ほんまおもろかったで。明日大阪帰んねんけど、その前にもう一回俺と勝負してくれへんか?」


突然の申し出だったが、不二にも多少なり悔いの残る試合であったのは確かで、その誘いを受けることにした。





 試合は接戦の後、不二が勝った。


同じ相手に二度は負けないという信念を貫いての勝利だった。


「やっぱり強いね、君。」


そう言って手を差し出せば、白石は苦笑しながら握手を交わす。


「そっちこそ。ほんま底が知れんわ。」


「で、用ってそれだけ?」


試合後の高揚感を削ぐような一言を笑顔で放った不二に、白石は一瞬動きを止めた。


試合中は熱いくせに、熱が引くのも早いようだ。


そして、どうもこちらに別の意図があるのを見破っているようだった。


困ったように苦笑いをすると、白石は仕方ないとばかりに口を開いた。


「まぁ、試合は口実で、これからが本番やねんけど、そうすっぱり言い当てられたら言い難いわ…」


不二はクスリと笑うと、白石の表情を窺うように見上げた。


上目遣いというのは反則技だと思った。


男の上目遣いなど普通なら気にする事もないのだが、白石にとってはクリティカルヒットのダメージを与えるに値する攻撃力を備えていた。


「ゲームに負けた後で言うのも何やカッコ悪いけど…不二、俺と付き合おうてくれへん?」


包み隠さず本音をさらした白石。


不二はその本質を見極めるかの様にしばらくその目を見つめていた。


「あんま見られると照れんねやけど…」


照れたような顔で僅かに視線を逸らした白石に対し、不二はフッと笑みを浮かべた。


「大阪と東京じゃあ相当な遠距離恋愛になると思うけど?」


「恋愛で問題なんは距離とちゃうやろ。」


不二のちょっとした問いにそう即答した白石。


不二は思わずクスクスと笑ってしまった。


「君って意外とロマンチストだね。というより、ベタな恋愛小説の台詞みたい。」


まるで恋に幻想を抱いている少女の恋愛バイブルに出てくるような台詞だと思いながら、けれど本人は至って本気らしい事を確認して、不二も真面目に答える事にする。


「いいよ、付き合っても。」


「ほんまか?!」


喜びに顔を輝かせる白石だったが、不二はそう甘くはなかった。


「ただし、テニスで僕を負かせたらね。」


たった今負けたばかりでこの台詞は、拒否ではないのかと白石は固まった。


「特別に1ゲームだけチャンスをあげる。それで僕に勝てたら君のものになってあげるよ。」


ニコリと笑いながらそう言った不二。


白石は苦笑しながらも安堵した。








 数ヵ月後――


「不二!」


名を呼ばれて振り返った不二の目に、満面の笑みを携えた白石の姿が映った。


「こんな所まで迎えに来なくていいのに…」


「何言うとんねん。ここが一番落ち合い易いんやて。」


「だからって、わざわざ新幹線のホームまで来る?」


呆れたような顔をしながら不二がそう言うと、白石は真顔で返す。


「梅田なんかで待ち合わせしようもんならえらい事になるで。それに…こっちの方が早う不二の顔見れるし。」


最後はニッと笑みを刻みながら告げられた言葉。


不二は苦笑する。


数ヶ月前、1ゲームの勝敗から交際が始まった二人。


本当は勝負などしなくとも、不二は既に白石に心を奪われていたのだが、それは一生告げる事のない不二自身だけの秘密。


今も白石との再会に踊る心を目一杯抑え込みながら、ただ軽く微笑むだけだった。


まだ本当の心は見せないと誓いを立てていた。


もっと深く、白石の心を捕らえるまでは――








****************
恐らく表紙の不二目当てで買ったのであろう36巻がひょっこり出てきたので読んでみたら、ガッツリ蔵不二にハマりました;;
い・ま・さ・ら…
四天宝寺の存在は知っていて、白石の存在も知ってましたが、その頃はもう創作やってなかったので「蔵不二」ってオイシソウとか思いつつもスルーしてたんですけど、いやまさか、こんな萌えが待ってたなんてっ!!!
改めてテニプリ読んでない巻を読んでいこうという気にさせられました。
たまたま買ってた巻が聖書になろうとは!(笑)
そんな訳で、お読みいただきありがとうございました!

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