庭球部屋

□逃げ道を断ち切って
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 U-17合宿一日目が終わった後、白石は酷く深刻そうな顔で不二の両肩に手を置きながら言った。

「絶対浮気せんといてや!?」

あまりに深刻そうな表情だったので何かあったのかと思っていた不二は、一気に興を削がれた。

「見知った顔ばかりの中で、今更浮気するかもなんて考える君の頭の中を是非見てみたいものだね。」

白石の手を払いのけながら素っ気無く返すと、不二はクルリと背を向けて立ち去ろうとする。

それを慌てて制止すると、今度は焦った顔で白石は言った。

「ちゃうちゃう!俺が言いたいんはそいつらの事やのうて――」

その言葉を遮るように不二は白石を振り返ると、一つ笑みを見せた。

不意打ちの笑顔に思わず顔を赤くしてしまった白石だったが、

「そうだね。今日切原が絡んでた人とかカッコよかったしね。」

という一言で一気に青ざめる。

その顔色の変化を見て不二はクスクスと笑った。

ちょっとした冗談にまで一々反応を見せる姿は不二を飽きさせない。

白石が本気で自分を好きなのだと実感させられて、何となく嬉しくもなる。

ただ少し気に食わない。

「僕ってそんなに浮気性なタイプに見える?」

笑いを止めて質問した不二に、白石は少し困った顔を見せた。

「いや、そういう意味で言うたんちゃうねん。ただ、お前はいつでも俺の腕の中からすり抜けて行きそうな感じがしてて、怖なったんや…」

情けない所を見せたくなくて隠していたが、付き合い始めて間もない上に、遠距離の為にほとんど会えていないが故に、毎日不安に駆られていた。

――誰かに奪われはしないか

――本当に自分を好きでいてくれているのか

久々の再会で改めて不安を煽られた。

そうして苦痛の表情を見せる白石。

どこまでも自分に対して真っ直ぐな感情を向けてくれる白石に、不二は心を鷲掴みにされた感触を覚えた。

そしてその感情のまま、白石に擦り寄るように身を寄せた。

白石の腕を自分の体に回しながら不二は言った。

「じゃあ、すり抜けられない様にしてみなよ。」

ニコリと笑みを浮かべながら告げられた言葉に一瞬目を見開くと、白石は不二の体を強く抱きしめてフッと笑った。

「そうさせてもらうわ。」

どこか余裕を感じさせるような声音を聞いて、不二は笑みを深めた。

少し自信過剰なくらいの白石の方が好きだなどと思いながら、不二は白石の気が済むまで身を預ける事にした。




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新テニを読んで他のカプが書きたくて仕方なくなったのですが、とりあえず蔵不二書いておこうと思ってまずは一本。
呼び方はやっぱり「不二クン」なのか…とガックリしたので今回は名前は出さずに受け流してみました。
次回からどうするか悩むところです><
むしろ二人きりの時はもう下の名前で呼ばせたらいいんじゃないかと思いつつ、そうなると正直白石の呼び方をどうするかって事の方に悩むという事に気付きました;;
と、後書になってないですが、お読み頂きましてありがとうございました!

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