成田CP

□from the start to the end 〜第5話『next step』
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 高校を卒業して、忍は直也と同じ大学に進むことになった。

それを機に二人は同棲を始めた。

付き合い始めて一年。

けれどその間一緒に過ごした時間はごく僅か。

それがいきなり四六時中一緒に居ることになって、直也は正直戸惑っていた。

どう接していいのか分からず、常時落ち着きがなかった。

対して忍は平然とした顔で雑誌を読んだりテレビを見たり、まるでこれが当然とでも言わんばかりの態度だった。

落ち着かない直也を見かねた忍は言った。

「ねぇ直也さん。もう一緒に暮らし始めて2週間ですよ?自分の部屋なんだし、いい加減寛いだらどうです?」

確かに自分の部屋である事に違いはないのだが、まだまだ付き合い始めてばかりの感覚である直也には、もう何年も寝食を共にした夫婦のような振る舞いをする忍の図太さが信じられなかった。

「あまりソワソワしてると、ご期待通り襲っちゃいますよ?」

こんな事まで言う始末。

直也は一つ溜息をつくと、リビングに添えられたソファへと腰を下ろした。

3人は座れるソファの端に座った直也を、同じソファに座っていた忍はジッと見つめた。

「何だよ?」

視線の痛さに思わず問うと、忍は太腿に肘を置いて頬杖をついた格好で口を開いた。

「普通、恋人同士ならもっとくっついて座りません?」

確かに忍と直也の間には、女ならば一人座れそうな間が空いていた。

しかし今の直也にはこれが精一杯の状態だった。

それを分かっている忍は、とりあえず現状に満足する事にした。



 翌日、部活が終わって直也と忍は並んで家路へと着いていた。

この感覚にも直也はまだ慣れなかった。

同じ方向に帰る事など、高校時代にはあり得ない事だった。

そこへふと空を見上げていた忍が「あ」と声を出した。

直也も空を見上げてみるが、ただ星空が広がっているだけだった。

「さっき星が流れたんですけど…」

成る程、と思いながら、直也はまた流れないかと星空を見上げていた。

「流れ星に願い事すると願いが叶うって言いますけど、流れ落ちる前に3回も唱えるなんて不可能だと思いません?」

突然向けられた問いに直也は少しばかり呆れた顔をする。

「お前って、夢も希望もない事言うよな。」

「だって、流れ星が消える前に唱えられる言葉なんて、『金金金』みたいな欲にくらんだ言葉くらいなものでしょ?元々綺麗なものじゃないじゃないですか。」

納得は出来るが、冷めすぎてやしないかと直也は思う。

「じゃあ、お前は例え長く流れる星があったとしても、何も願わないのか?」

試しに聞いてみると、

「ボクの場合、願い事は直接言った方が早いので。」

と言って視線を向けられた。

つまり忍の願いは自分に関する事なのだと、当然察知出来た。

嬉しくないはずもない直也は、つい頬を赤らめてしまう。

暗闇でそれは隠されたが、忍は更に言葉を続けた。

「ボクは直也さんとずっと一緒に居られればそれでいい。だから、これからもボクから離れずに居て下さい。」

直也にとってそれを叶えるのは簡単なことだった。

何故なら自分も同じように思っていたからだ。

「お前がずっと側に居てくれると言うなら、俺はお前から離れたりしないよ。」

その言葉に忍は笑みを浮かべた。

そして誓いを交わすように口付けを交わした。

「一生離しませんから、覚悟しておいて下さい。」

「上等だ。」

互いにフッと笑い合った時、空にまた一つ星が流れた事を二人は知らない。

願いを実現させられるかどうかは、結局自分達次第なのだから。





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流れ星の話って地域によって違ったりしないのだろうかと思いながら、ふと田舎で星空が綺麗だったのでネタにしてみました。
とりあえず同棲開始で一つ次の段階に進んだ二人。
この次って言ったら、やっぱりアレ?アレなの?!
とっても不安です…
そんな訳で、お読み頂きありがとうございました!

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