天童寺CP
□二人の願い
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「明日ノボリと鎌倉とで神奈川まで県大会観に行くんだが、お前はどうする?」
聞いてから武蔵はふいに思い出して、
「愚問だったな。」
と苦笑した。
龍之介は見ていた雑誌から目を離して武蔵を見やると、こちらも苦笑を返す。
ノボリはいない、当然彩は行かない。
となれば、龍之介がこんなチャンスを逃すはずもない。
久しぶりに彩と二人きりになれるのだ。
翌日、武蔵たちを見送った後、龍之介は彩の部屋へ行こうと自室の扉を開けて驚嘆した。
そこに彩が立っていたからだ。
沢登が出かけたのを見計らって、彩の方から龍之介の部屋へとやってきたのだ。
まるで以心伝心な状況に龍之介は嬉しさを隠せず、彩の腕を掴んで部屋へと引っ張り込むと、そのままの勢いで抱きしめる。
「まさか彩の方から来てくれるなんてな。」
「悪いかよ…」
抱きしめているために顔は見えないが、恐らくバツの悪そうな表情をしているのだろうと思うと、龍之介は彩が元の表情を取り戻すまでこのままで居てやろうと、しばらく黙って抱きしめている事にする。
その考えは非常に殊勝だったのだが、次の言葉はまた彩の表情を変化させた。
「で、武蔵たちは多分夜まで帰って来ないと思うけど、どうする?」
体を離しながら龍之介が問うと、彩は僅かに頬を赤らめて顔を逸らした。
本当はその答えを彩の口から聞きたいのだが、そこまで高望みしては罰が当たるだろうなと龍之介は思う。
だが結局結論は同じな訳で、龍之介は己の欲望に従う事にする。
情事の際、龍之介はいつも思うことがある。
寮というのは非常に不便だ。
好きな時に抱き合えないというのももちろんだが、誰が聞いているとも知れない為に、彩の喘ぎ声というのが聞けない。
必死に声を押し殺す姿もそそるのだが、一度くらい目一杯その啼き声を堪能してみたい。
これは男としては決して贅沢な望みではないと思う。
尤も、彩の方はどんな状況下でも声を出すまいとするだろうが、そこは龍之介にも考えがある。
とにかく周囲を気にしなくても良い環境が欲しい。
事後、龍之介は彩を後から抱きしめながら言った。
「なぁ彩。卒業したら一緒に暮らさないか?もちろん、同じ大学か近くの大学に行けたらの話だけど。」
彩は考え込んでいるのかしばらく沈黙していたが、やがて体を反転させると、珍しく甘えるように龍之介の肩口に顔を埋めた。
「お前とずっと一緒に居たい…」
期待以上の返答に龍之介は頬を緩ませた。
「じゃあ約束だ。ずっと一緒にいよう。」
そう言って龍之介は小指を差し出す。
彩がそれに小指を絡め、二人は誓いを立てた。
共に人生を歩んで行こうと――
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こっ恥かしいものをお見せしてすみませんでした!
何となく、沢登と武蔵と鎌倉がつるんでるシーンを見てると、じゃあ彩と龍之介は何してんだろう?とか考えてたらこんな事に…
オチが見つからなくてどうしようとか思ってたらこんな事に…
恥かしすぎる…
でも龍之介は真顔で恥かしい台詞はいてそうだし、彩は相当真剣じゃないと男相手に恋愛なんてしないと思うので、もうやっちまえ!って感じで書いてみました。
こんなのにお付き合い下さってどうもありがとうございました!