瑞穂CP

□作用と反作用〜第1話『タイフーン』
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 「トーヤさんて相当俺のこと好きですよね?」

「はぁ?!」

高階トウヤ高校三年生の春、入部した時から生意気さ大爆発で、二年になって更にふてぶてしさを増してきた後輩・榎本仁志の言葉に、素っ頓狂な声を上げた。

何故そんな結論に達する。

「オレが男に興味あると?んな訳ないっしょお。オレは大人のお姉様が好きだから!」

「それ、半分はエロ本の中の話っすよね?」

ギクリ、とトウヤが微妙な表情を見せる。

だが男に興味がないのは事実だ。

「何だ榎っち、オレに抱かれたいの〜?」

軽口で言ってみたら、とんでもない言葉が返ってきた。

「その逆です。」

“んんん??オレって男に好かれる要素あったっけ?”

自分に問いかけてみるが、思い当たる節は全くない。

そもそも、鍛え上げられた男の体、いたって男らしい顔つき、一体どこに『抱きたい』などと思う輩がいるだろうかとトウヤは思う。

その答えを求めるようにトウヤはチラリと榎本を見やる。

それを察してか榎本は言った。

「入部した時から何かと俺にちょっかい出して来たのはトーヤさんの方じゃないすか。」

「いや、あれはちょっかいと言うより後輩を思いやる先輩としてであって――」

言いかけた言葉を、榎本の怖いくらいの真剣な眼差しに飲み込んだ。

“この状況は非常にまずくないか?”

そうトウヤが思うのも当然で、練習後に自主練をしていて今部室に残っているのはトウヤと榎本の二人だけなのだ。

部室の鍵も任されているので、頼みの綱である杏崎が戻って来る事もない。

焦るトウヤに対し至極冷静な榎本は、ふと嫌な笑みを浮かべた。

「俺と付き合ったら、エロ本なんて必要ない体にしてあげますよ?」

“何ちゅーことを言うかな、こいつは!?”

いい加減この場の空気に耐えられなくなったトウヤは、頭を整理しつつ口を開いた。

「お前の言い分は分かった。とりあえず前向きに検討するから、今日は帰るぞ。」

そう言って出口に向かうトウヤの腕を掴むと、榎本は自分の方を向かせて有無を言わさず唇を合わせた。

口内に舌を差し入れて深く口付ける。

トウヤの頭の中は真っ白になっていた。

恥ずかしながら、気分屋なところがあるせいかこの年になって未だ誰かと付き合った経験はなく、セックスはおろかキスも初めてだったりする。

息をする事も忘れてされるがままになっていたトウヤ。

しばらくして解放された口からは、何も発する事が出来なかった。

ただボンヤリと榎本の顔を見つめる。

そこで不意に榎本の口元が歪んだ。

「キスだけでこれじゃあ、先が思いやられますね。」

その言葉にようやく我に返ったトウヤは、顔を真っ赤にしながら叫んだ。

「先なんてあるかー!!」

部室の鍵のことなど忘れて逃げるように飛び出していったトウヤを見送って、榎本はニヤリと笑みを浮かべた。

「もう一押しってとこか。」

呟かれた言葉が実行されるのは、すでに決められた運命であった。





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自分だけが楽しい榎トー。
誰か読んでくれた人がいれば嬉しいのだけれど…
榎トーはですね、これからどんどん男前になって余裕も出てくるだろう榎本に侵蝕されるトーヤを想像すると堪らんのです!!
1年の2学期くらいまではトーヤにからかわれて苛々な毎日を送る榎っちですが、3学期頃から精神的に成長して逆襲ですよ!
ちなみに精神的指導は三浦先生なのでトーヤに勝ち目はありません(笑)
ああ、考えてるとマジで楽しいです!
という訳で、こんな激マイナーカプなお話読んで下さり本当にありがとうございました!

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