明和CP

□元お世話係
1ページ/1ページ




 明和大日立高校バスケ部には、本人たちの与り知らぬ所で勝手なあだ名を付けられている者たちが存在した。


一人は『傲岸不遜の歩く代名詞』と言われる結城希。


もう一人は『結城希のお世話係』長瀬悟。


どちらも当たらずとも遠からず、どころか、全くもってその通りだと誰もが納得するネーミングであった。


尤も、長瀬に関しては『世話係』というより『飼い主』と言った方が適切なのではというくらい、希に懐かれていた。





初めは本当に世話係だった。


希が入学して来た頃、やたら態度がデカく口の悪い彼に手を焼いた当時の三年生達が、どんな人間でも受け入れてしまう長瀬に希の面倒を押し付けたのがきっかけだ。


長瀬は希の才能を手放しで褒めちぎり、甘やかし、希はそれが嬉しくて自然長瀬に懐いていった。


そして鬱陶しい先輩達が引退して長瀬達の代になると、希の懐きっぷりは勢いを増していった。


それに呼応するように、長瀬の甘やかしっぷりも度を増していった。


周囲の感想はこうだ。


『ウゼぇ…』





やがて希が二年になった頃、彼はある事に気がついた。


思い立ったら即実行な希は、そのある事を長瀬へと告げる事にした。


「俺、長瀬さんが好きです。」


突然告白を受けた長瀬だったが、


「俺も希が好きだぞ?」


と、笑顔で返した。


その笑顔から、長瀬が意味を理解していない事を希は察した。


僅かに呆れた顔を見せつつ、仕方なく補足を加える。


「恋愛感情でって意味なんですけど。」


するとやはり意味が分かっていなかったらしい長瀬は、笑顔の表情そのままにカチンと固まってしまった。


やがて硬直が解けたかと思うと、長瀬は一気に顔を真っ赤に染めた。


その反応を一部始終黙って見つめていた希は直感した。


脈ありだと。


「長瀬さんも俺の事好きなんですよね?だったら付き合っちゃいましょう。」


ニッコリと笑ってそう告げた希に対し、長瀬は一つコクリと首を縦に振った。


そのまま顔を上げられずにいた長瀬だったが、希は色よい返事だけでは飽き足らずに長瀬の顎をクイと持ち上げると、徐に唇を合わせた。


またも硬直して、先程までよりも更に頬の赤味を増す長瀬。


年下に翻弄されている状況が不本意で仕方なかったのだが、希相手ならそんな事ももうどうでも良くなっていた。


再び唇を合わせてくる希を目を閉じて受け入れると、込み上げてくる幸福感に思わず頬が緩んだ。


希が自分を欲してくれるならこれ以上の喜びはないと長瀬は思った。


何せ希と初めて言葉を交わしたその日から、長瀬は希に惹かれていたのだから。


だがその事だけは一生ふせておこうと心に決めた。


それが長瀬のせめてもの抵抗だった。









************
年下攻め大好きなので、希長は絶対外せないと思いました。
余裕綽々の希とウブな長瀬を考えると、萌えを感じてなりません★
後は全く逆に切羽詰った希と、それを持ち前の包容力で受け止める長瀬な希長を書いてみたいです!
ではでは、お読み下さりありがとうございました!

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ