明和CP
□Best partner
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天童寺戦の後、長瀬からもらった一言が嬉しくて、そしてそんな長瀬を決勝戦へ連れて行けなかった自分の不甲斐無さが悔しくて、希は先輩達を差し置いて涙を流してしまった。
誰よりも悔しいのは先輩達だろうにと、控え室へと戻る途中考えていた。
控え室へ戻って各々着替えを済ますと、長瀬は皆に先に行くようにと告げた。
だが希は何故か長瀬を放っておけずその場に残った。
すると、長瀬はポロリと涙を零した。
試合が終わった直後は、負けたとはいえ精一杯プレイ出来た事に満足感があった。
けれど後から後から悔しさが込み上げてきて、どうしても感情を抑える事が出来なかった。
泣いている所を誰にも見られたくなくて皆を先に行かせたのだが、自分を案じて残った希の前では、もう我慢をする事が出来なかった。
ベンチに座って俯いた状態で、長瀬はポトリと床に落ちる己の涙の雫をぼんやり見つめていた。
希は長瀬の前にしゃがみ込むと、その瞳から溢れる涙を指ですくった。
「俺の前では虚勢張らずにいくらでも泣いて下さい。今まで俺が長瀬さんに支えられていたように、今度は俺が長瀬さんを支えますから。」
そう言って長瀬を抱き寄せる。
長瀬は希の肩口に顔を埋めながら、その温もりの中で涙を流した。
しばらくしてようやく心の整理をつけて落ち着くと、長瀬は顔を上げた。
「もう大丈夫だ。」
そう言って小さく笑みを見せた。
希は長瀬の涙の跡を指で拭うと、その頬に口付けを落す。
「大学に行ったら、また一緒にバスケやりましょう。」
思わぬ申し出に長瀬が目を見開く。
「辞めるつもりなんてないですよね?」
釘を刺すような問いに長瀬は苦笑した。
「お前が望んでくれるなら、俺はもっと希を活かせるプレイが出来るPGになれるよう努力するよ。」
その言葉を聞いて希は笑顔を返した。
「俺は長瀬さん以外と組む気ないんで。バスケでも、プライベートでも。」
これには長瀬も笑顔を返すよりなかった。
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対天童寺戦後、控え室から出て来て成田メンバーと遭遇した時、長瀬と希が二人きりだったのでうっかり妄想。
天童寺と瑞穂はメンバー総出ですれ違ってんのに、なんで明和は長瀬と希だけなんだよって、つっこみたくもなりますよね?
グッジョブっす先生!
ではでは、お読み下さりありがとうございました!