カゲロウデイズ

□一廻目
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しばらく公園で遊んだ後、特に何もすることがなかったので
他のところに行こうとして、公園の入り口付近に行く

そこで綾菜の腕に抱かれていたクロが急に綾菜の腕から飛び出し
横断歩道のところに駆け出した。

「あっ!」

そう声をあげて綾菜はクロを追いかけるために走り出した。

それを俺は只見ていた

ふと道路を見てみると横断歩道の信号は赤で…
クロと綾菜が向っているのも赤信号の横断歩道で…

そこを制限ギリギリのスピードを出しているトラックが向ってきた


それを見て俺は焦りながら



『危ない!』


そう俺が叫んだら

丁度横断歩道に飛び出した綾菜が俺の方向を見ながら


「え?」


と、声をあげた

そして次の瞬間



キイィィィィィ!



と、タイヤが悲鳴を上げながら綾菜にトラックがぶつかった

キャアァァァァァ!

周りに居合わせた人たちが次々に悲鳴を上げたり
「救急車を!」
などと声をあげているのを聞き流しながら俺は道路に転がっている
血まみれの…鉄の香りをまとった綾菜を見て…



『嘘だろ?』



そう呟き、茫然とすることしかできなかった。

反対の歩道を見上げると一人の少年が俺のことを見ていた

俺はその顔を見て驚愕の表情を浮かべた

少年の顔は俺と瓜二つの顔だった

彼は微かな笑みを浮かべながらまるで何もないかのように
綾菜の隣を歩いてこちらに向かってきた

その光景を見て自分以外は少年が見えないのか何も言ってこない

真っ直ぐに俺に向かってくる少年に無意識に後ずさりをしていた

少年は俺の目の前に立って笑みを深くして



【嘘じゃないさ】



そう言って俺の隣を通り過ぎた


バッと後ろを振り向いてみると少年の姿は無く
それを確認した時
不意に視界が反転した

意識が途絶える間際に微かにネコの鳴き声が聞こえた気がした―
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