カゲロウデイズ

□一廻目
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カチッ…コチッ…カチッ…コチッ…



「ッ!」



昼間の喧騒のない時計の針だけが鳴り響く自分の部屋のベッドの上で目を覚ました。



覚ました時に思わず起き上がってしまっていた。
そして、鼓動がまるで全力疾走をした後のように早い

先程の風景が頭に思い浮かび、手元にあったスマホを手に取り
今がいつなのかを見るために電源を付けた。

画面には8月14日の午前12時過ぎ位を指していた。



そのことに安堵し、8月15日の午後12時半ぐらいの
あの出来事は夢だったのだろうと結論を出した。



しかし、目を閉じれば思い浮かぶあの光景


だがそれよりも鮮明に覚えていたのは耳をふさぎたくなるような
それほどまでの大合唱をしていた蝉の声だった。



思わず震えた身体を自分で抱きしめた後、身を隠すように
頭まで布団をかぶり睡魔が来るまでじっとしていた。



なかなか訪れないと思っていた睡魔は思いのほか早くに訪れた



そんな少年を窓の外から黒ネコが月によって光を受けた目を
光らせながら見ていた―
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