あかいニンゲン






あかくて綺麗なニンゲンがいた


そのニンゲンは走っていた
おれさまも走りたくなって
気がつくと、足が生えていた


そのニンゲンはねこを撫でていた
おれさまも触れたくなって
気がつくと、手が生えていた


そのニンゲンは笑っていた
おれさまはそれを見つめていたくて
気がつくと、瞼が閉じることを止めていた


そのニンゲンは歌っていた
おれさまも歌いたくなって
気がつくと、唇が動くようになっていた


そのニンゲンはくしゃみしていた
おれさまもしてみたくなって
気がつくと、お日様のにおいがわかるようになっていた


そのニンゲンは座っていた
おれさまも隣に座りたくて
気がつくと、心音が響いていた


するとニンゲンは
おれさまを見て

『さすけ』って呼んだ

おれさまは気がつくと、ニンゲンになっていた

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