「お、おじゃまするでござる」
玄関に入ると、靴を脱ぎ丁寧に並べて端に寄せた


「あはは、旦那どうしたの」
緊張してんの?初めて来るわけでもあるまいし、
と続ける青年


「佐助の家に2人きりなのは久々だからな、
いつもは政宗たちがおるだろう?」
俯き、呟いた


「そうだねぇ、なんか照れちゃう」
そうはにかむ青年につられ、笑ってしまった


「あ、旦那、」
廊下を歩きながら青年は振り返る

「お風呂入る?先ご飯にする?」


少し思案してから、
「夕餉には準備に時間が掛かるであろう?」
俺が手伝ってもよいが、佐助一人の方が早かろう
と答える

「確かにね、了解ですよーと」
言いながらリビングについた青年は
制服をハンガーに掛けて、部屋着である迷彩柄のスウェットを着た

俺は鞄を隅に寄せた

「その代わりに片付けは俺がやるぞ」

「ありがとう旦那、助かるよ」
あと、制服脱いで干しときなね。これ着替え、
と赤いTシャツを渡された
この間泊まりに来たときに置いていったやつだ


「嗚呼、だから俺が風呂の準備をしている間に食事の準備を頼んでもよいか?」

「うん、おれさま腕によりをかけて作るよ」

「期待しておるぞ」
佐助の作るものは何でも美味いからな

「旦那のママさんの方が料理上手でしょ、」
苦笑しながら青年は冷蔵庫を確認する

「母上より佐助の味の方が好みなのだ。夕餉が出来次第先に食べよう」
風呂はそれから2人で入ればよかろう?

青年が足を止めた
「2人で入るの?」
狭いよ?と続けた


「異論は認めぬぞ」

「はいはい、おれさまが旦那のいうことに異論なんか唱える訳無いでしょ?」
笑いながらあしらう青年が、少し憎い
余裕ぶりおって…

「…うふふ、本当に新婚さんみたいだなぁ」
言いながらエプロンを着ける青年
俺は風呂場に向かう


「新婚ならばエプロンは裸に、ではないのか?テレビでやっておったが、」
揶揄するため、そう問いかけると、


「旦那ったら何見てるの!
嗚呼もう!破廉恥破廉恥叫んでた純情旦那が恋しいよ!
なんて嘯かれ

「俺は昔と変わらぬつもりだが」
と賺さず返した

「大体…おれさまの裸エプロン見たって楽しくないでしょ」
作業を始めながらそう言う青年
時刻は19時を回った


「俺は佐助のエプロン姿にしか興奮せぬのでな」
風呂場から戻り、青年の耳元で囁く


「…っ!おれさましないよ…!?」


「そうか、それは残念だ」
ならば大人しく風呂の準備でもするとしよう
笑いながら再び風呂場へと歩みを進めた

「夕餉は頼んだぞ、佐助



「…旦那こそちゃんと準備、よろしくね?」
慌てて作業再開する青年は
俺を睨みつけながら言い放つ

嗚呼、かわゆい奴よな

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