Primula
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夏、ジリジリと暑い日差しが差し込む教室。
先生の数学問題を解説する声とかすかな蝉の音を遠くに聞きながら窓の外を見上げた。
あー、空が青い。
「このプリントは明日までの宿題です」
「全問正解しなくちゃ落第ですからね」
そう言った先生へのえーという抗議の声が出るが如何せん少人数は弱い。文句は受け入れないとでも言うように終わりですと先生は教室を退出した。
はぁーとため息をこぼすクラスメイト達。といっても本当に数人の奴らを見て、私は別の意味でため息をこぼした。
まさか、居眠りのし過ぎで夏休みの補習を受ける事になろうとは…
まぁこのプリントを解けばあとは自由の身、といっても全問正解なんて先生もなかなかスパルタだな。
そもそも中学生に落第なんてあるのか?高校受験に影響はするだろうが。プリントを一問一問流し見ながら確認する。
全然解ける内容だし大丈夫かと思いきや、一問だけオカシイことに気づく。
この問題ってたしか…
「なぁ、矢川も一緒にどうだ?」
突然の呼びかけに顔を上げると私に声をかけた人物は山本武だった。
「…は?」
「ちょっ、山本?!」
「二人よりも三人いた方がいいだろ?な、矢川も一緒に宿題やろーぜ!」
何かの間違いでなく私に言っているようだ。
ちょっとまて、あまり私と関わったことないくせしてどうしてそんなフレンドリーなんだ。沢田なんか気まずそうにしてるだろう空気読め。
「イヤ、遠慮しておく。私がいては沢田も落ち着かないだろ」
「えっ別にそんな事はっ…!」
「ツナもこう言ってるし、な?何処でやるか?」
イヤイヤイヤ、沢田の顔を良く見ろ。物凄く微妙な表情だ。
「うちでやればいいぞ」
ひとつの声が響く。
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