拍手SS集

□蒼桐大佐の憂鬱
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 晴れ渡った空が、司令室の窓から悠然と見える。
 ゆったりと流れてゆく雲を眺め、蒼桐は一つ、息を吐いた。





*蒼桐大佐の憂鬱*





 目の前には、毎日毎日送られてくる0小隊の報告書がデータとしてホログラムに映し出されている。
「…全く。よくも毎日次から次へと……」
 今日のメインは暴走ロボを仕留めた事。サブメインは強盗未遂御用、か…−しかしこちらは警軍が扱っていた仕事だったので、後に向こうから連絡が来るだろう。
「やれやれ…」
 大佐は暴走ロボの報告書のみを軽く添削した後、上部にデータ送信をした。
「茆-カヤ-…彼らをどう思う?」
 大きなため息と共に、蒼桐は背もたれに体を預けた。デスク前のテーブルで資料整理をしていた茆と呼ばれた部下は、ほんのり笑って応える。
「いいと、思いますよ」
「どういいんだ?」
「あなたが良しと思われてる範囲内で」
「…ふん。お前はいつもそうやって味気無いな」
 聞くんじゃなかった、と思いながら…蒼桐は盲目の部下を見つめた。
「大佐」
「ん?」
「休んでないで仕事続けて下さい」
「あ…あぁ」
 こんな時、ついつい部下を疑ってしまう。
―ホントは見えてるんじゃないのか…?
 蒼桐はふぅっと小さくため息をつくと、仕方なしに別の小隊からの報告書に目を通し出した。
「私は知っていますよ」
 ふぃに、茆が顔をあげて呟いた。
「…何をだ」
「あなたが彼らを管轄した事を、大変悔いてるのと同じくらいに…大変頼りにしている事も」
 的を得すぎてる言葉に、蒼桐はぐっ、と固まってしまった。
「フォローはおてのものでしょう」
「うるさい。…仕事しろ」
「もう終わりました」
 迅速に仕事をする部下を、ここは褒める所なのだが…蒼桐は思わず四回目のため息を吐いていた。
 雲は変わらずゆったり進んでゆく。
 まるで…家路を目指しているように……正確に、風の赴く方へと。











やっと茆たん御目見えですね!(笑)
彼は大佐の事を60%ぐらいは尊敬してます。
すごい微妙な数字です(笑)




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