本編

□雪が降って来た
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 季節は夏。

 外に出ると白い息…










*雪が降ってきた*










「ゔー…さみぃ」

 だだっ広くて無機質な駐車場には、雪がちらついている。
 歩く度に揺れる二つくくりにした黒髪。時折雪が触れては消えていく…。
 マフラーとコートに身を包んだ0小隊隊員の一人…優香は少し、嫌そうに顔をしかめて空を仰いだ。

「昨日まで暑かったなんて、なんだか信じられないネ」
 彼女の相方、飛風が白い息を吐きながら、辺り一帯を見回たす。
「…どーでもイイけど、怪しいよ…あんた」
 呟いた優香に、飛風は「そーかなぁ…」と小さくぼやいた。

 長いマフラーを鼻の頭まで巻いて、眼鏡だけが覗いている。…その上にふあふあの耳あてまでつけてきょとん、としてる相方。確かに一見見ると怪しい。

 優香は、はぁっとため息をついた。
 その息も、冷たい空気に真っ白になる。
「…それにしても……車が遠い」

 彼等が言うところの車とは、正式名称は「エアジェット」と呼ばれる浮遊式の乗用機の事だ。

 てくてく歩いても歩いても…車しか見えない駐車場は、果てのない世界に感じられる。
「歩いてたらあったかくなるんじゃない?」
 飛風が呑気な事を言ってるうちに、どうやら優香は小隊専用の車を発見した様だった。
 指紋読み取りキーに触れて、中をがつっと開ける。
「…うゔっ…さむっ!飛風ちょぃ待ってて。エンジンかけてあっためるから」
「ん」
 ぶるっと震えて、飛風は腕をさすった。
「……なんだかまた寒くなってきた気がする」


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