深夜。見回りの警備班の人間が、科軍第三施設を歩いていた。
あちらこちらの窓から明かりが漏れてはいるが、彼の歩いている十三階は足下の歩行ランプのみだった。
ワープポイントに差し掛かり、次の施設へ行こうと足を一歩踏み込んだ瞬間、バチッと白い光が青年の目の前に現れて……消えた。
なんだ?──
首を傾げながら、再びワープマシンに乗り込もうとする。
だが……再び、バチッと閃光が走る。
青年は乗り込むのを止めた。
この閃光──これとよく似た現象を、知っている。
雷……?──
警備班の青年は不信に思いながら窓の外を見た。しかし、空は一向に曇っておらず、星が瞬いている。
怪しさを感じた青年は、リストランプの明るさを最大に調節すると、さっき見回りを終えた廊下を再び歩き出した。
一つ一つの室内を照らせど、怪しいものは何もない。
しかし、時折閃光は青年の目の前に現れては消えていく。
青年は、ワープポイントとは反対にある突き当りの階段までやって来た。
その踊り場に……バチバチと青白い光をまとわりつかせている不可思議なソードを片手で持ち、構えている人影が見えた。
青年は、目を大きく見開いて叫んだ。
「だ……誰だ! そこで何をしているっ?! 」
影は……にやり、と不敵に笑うとソードを高く掲げた。
剣先から、ピシッと小さな電流が生まれる。それはすぐに真っ直ぐ上へと昇ると、青年の元に直下してきた。
「──っ……!!」
抵抗もできないまま、青年は大きな雷に打たれ……倒れた。
影はくつくつ笑うと、その場を静かに去って行った。
**イカヅチノツルギ**
「アンタがやったんだろ!!!」
公安からやっと解放された蒼桐は、野蛮な出迎えに面食らった。
目の前に、恐ろしい形相をした警備班の人間が立っていたからだ。
昨夜、警備班の見回りの青年が、意識不明でメディカルラボに収容された……という情報を聞いたのは今朝方。
司令室に入ったと同時に、警軍公安課の人間に呼び出され、今の今まで取り調べを受けていたのだ。