本編

□さらば旧き国よ
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 時代を変える為には……

 どれぐらいの血が必要か……?


 果たして、血は必要なのか……──










**さらば旧き国よ**











 満天の星空を見て、青年は感嘆の息を漏らした。
「すごいな。ここはホントに人工惑星か?この星空はどうやって作ったんだろう…。夜だけ天井がガラスになっているのだろうか」
「いいえ、違いますよ…カーン様。この星にはラピタというシステムが存在するのです」
「システム?コンピューター…で作っているのか?」
「…そういう事になりますね」
 カーンと呼ばれた青年は視線を夜空から、星間飛行場を飛び立つ船に移し、フェンスにもたれ掛かりながらそれをじっと凝視した。 頭からすっぽり羽織った茶褐色の布は肩の辺りを一巡りし、余った部分がぱたぱたと風に靡く。
「あの船は大きいな…デスト。オレ達が乗って来た船の数倍はあるぞ」
「あれは客船です。我々が乗って来た渡航用の船とは違い、ゆったりと船旅をするのを目的としているんですよ」
 涼やかな声で説明をするデストもまた、カーンと同じ様な巻き方で布を羽織っている。
「そうか…なんだかすごいな」
「…カーン様、そろそろ第二陣が到着します。出迎えに参りましょう…」
「あぁ…分かってる…」
 巻いてある布のせいで、彼らの表情は読み取りにくかったが…カーンの瞳だけはギラギラと強い光を放ち、ゆっくりとその視線を船からデストへと向けた。

「行こう…!」






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