「なーんで曇ってんだ?」「ラピタが天の川を再現したと、確かに報道していたはずなのだが……−」**タナバタヨゾラ** 警軍施設の屋上に、二つの人影が薄ぼんやりと浮かんでいる。 帳の降り始めた空は、厚い雲に覆われていて星一つ見えない。「それにしても……−」 煙草の煙を嫌がる様に、李隼は離れていた距離を更に広げて樫を睨んだ。「どうしてお前と並んで空を眺めてなきゃいけないんだ。」「しょーがねぇだろぉ。お互い『待ち人来たらず』なんだからよぉ。」