斉藤受
□もしも、
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もしも。
俺がお前の事を好きだと言ったら、お前はどうするんだ？
「…『言ったら』、でしょ？」
「…まぁな」
想像外の答え。
斉藤は、あくまでも落ち着いている。
「うーん…。本当に鴇さんがそんなコト言ってくれたら…嬉しいスけどね」
…なんてね。
そう言って、困ったように笑う斉藤。
いつも、うるさいくらいに明るく笑うクセに。
こういう時だけ、妙に空気を読んだ笑い方をする。
「もしも…本当に…言ったら？」
二つの予防線。
『もしも』と、『言ったら』。
ズルいことなんてわかってる。
だけど、言えないのは俺の性格からして仕方がないこと。
「…鴇さん」
あぁ、困ってる。
何て言えばいいのか、分からなくて戸惑ってる顔。
…別に、困らせたいわけじゃないんだ。
ただ、もしも。
お前のことを、愛してると言ったら。
俺のことを、拒ばないと。
受け入れてくれると、信じていたいだけ。
仮に、俺を拒否するとして。
その時の哀しみを薄くするための、
予防線。