斉藤受

□交換条件
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「…はい?」
「いや、だからさ、抱かせろ」
「さようなら、俺帰りますお元気で!」
「待て待て待て…わかった、コレでどうだ」
「…………アンタ…」
「よっしゃ家帰るぜー」



…俺って…何か…可哀想だ…。
自分で言うのもなんだけど、本当にそう思う。




反則にも、程がある。




「ていうかさっきの会話の脈絡なさすぎでしょ…」
カーペットに押し倒されながらの一言。




『いやぁ、夜の雰囲気っていいと思わねぇ?』
『それは中条さんがそういう人だからっスよ』
『そういうコトってどういうコトだよ…。まぁまとめれば抱かせろ』
『まとめすぎっス』




そして、…出された条件で大人しく中条の家まで来てしまった自分。
…自分を上から見下ろす彼に、ドキッとしてしまったことが悔しくてたまらない。

「ふっ…ぁ、ん…」
「ホラ…もう諦めろって…」
「ばか…」

何で彼はこんなにもキスが上手いんだろう…。
経験があるから?慣れてるから?
…そう思うと、ちょっと悲しい。

でも、それを打ち消してしまうくらいの熱いキス。
もう、抗う気にもならない…。
――静かに、身を任す。


「ひ、ぁあ…!や、だめっ…、も…やだぁあ…!」
「痛くねぇだろ?ほら、もっと…」
「やぁあ…!」

――後孔に三本の指を受け入れて、涙を流して喘ぐ斉藤。
自分の腹部や胸には白い欲望が飛び散って、何とも卑猥な光景。

…しつ、こい…!
いつまでもいつまでも、俺の身体を弄るだけ…。
決定的な快感を与えてくれない。

あ、いや、さっきから何度もイかされてはいるんだけど…
なんていうか、その…。

「なか、じょ…さぁん…!」

もう限界ってところまできて、とうとう斉藤がネを上げる。
焦らして、焦らしまくって。
斉藤から、中条を求めさせる。

「なに…?俺の、欲しい?」
「わかってる…クセに…!」

口の端を意地悪そうに歪めながら、何とか斉藤に言わそうとしている。
…恥ずかしすぎる…!

「わっかんねぇよ…言ってくんねぇとな」
「っ、意地悪…!あ、ゃ!」

斉藤が躊躇っている間にも、ナカを柔らかくする動きは止めずに。
触れただけで電流が走ったようになるトコロを、何度も何度も責められる。

「も、最低…!」
「そーんな最低なヤツに責められてヨガってんのは誰だっつの」

ぐりっ、と蜜を零している先端を思いきり擦ってやる。
いきなりのことに、堪える間もなく…。

「やぁああ…!ひ、どぉ…ぃっスよ…!」
「何がだよ…?ほら、早く言えって、…欲しいんだろ?」

…やっぱり、わかってるんじゃないか…!

「ほら…言わねぇと初めの『条件』…皆にバラすぞ?」
「んなっ…!そっ、そんなの卑怯ぉっ、ひ、ぁ!」

ナカで再び指が激しく動いて、語尾がイヤらしく上がってしまう…。

「うー…!」
悔しい、けど…!
もう、身体の方が…限界だ。


「欲しぃっ…欲しいよ、中条さん…!」


羞恥が最高レベルに達した、ような気がする…。
彼はいやーな笑みを浮かべると、斉藤の腰を掴んだ。

「ったく…そんな泣くなって…俺がいじめてるみてぇじゃねぇか…」
「いじめ、てる…じゃんか…ぁ…!」
ぽろぽろと零れる涙をそっと指で拭う。

「ぁっ…う、なかじょ、さ…」
「欲しかったんだろ…?いっぱい、ヤるから…」

――ズプっ…!
指とは比にならない程の質量のモノが、大きな圧迫感を持って入り込んでくる。
力を抜けば抜くほど、奥へ奥へと潜り込んで…。

「んぁあああっ、ぁっ、ひぅっ‥!」
「キッツ…」

耳元に降ってくる…彼の声。
低くて、ちょっと掠れてて…、すっごく色っぽい。
それを聞いた瞬間、どくん、っと体温が上がった。

「あっ、ぁ…!なかじょ、さ…ひぁあ…!」
「イく、か…?一緒に…」

両手首をがっしりと掴まれて。
まるで、『俺からは逃げられない』って言われてるよう…。
逃げられるとも、思っていないけど…。

「も、だめっ…!イく…イっちゃうよぉ…!!」
「っは…イけ、よ…」

最後に、トドメを刺すように。
固い先端に…感じてしまってどうしようもないトコロを抉られる。
入って、抜けて。
そのスピードがすっごく速くなって…!

「あっ、だめっ、いや…!んぁぁあああ――…!」
「くっ…!」

ナカ、に。
熱いモノが叩きつけられて…。
…それを感じた瞬間、俺は意識を失っていた。



「……すっごく悔しいんスけど…」
「何が」

目を覚ますと、身体は綺麗にされていて後処理はきちんとされていた。
…でも。

「やっぱり…あの『条件』ってヒドいと思うんスよ…」

…中条が斉藤に出した『条件』は、

中条と斉藤が『そういう』関係、だということ。
それを、身の回りのやつにバラすぞー…という条件。

そんなの恥ずかしいし、男として「受け」という立場にいるのは…。
と思っている斉藤は、他の人間にそれを知られるのを極端に嫌がっていた。
そこで、中条はそれと引き換えに条件を出したのだ。

「もう…あーゆーの、やめてくださいよ?」
「お前が最初っから大人しく抱かせてくれればな」
「………(殺ス)……」
「んな殺意篭った目で見んなって、照れるだろ?」
「…最低…」
「あー?何か言ったかよ?」
「……一生抱かせないって言ったんスよ」



この斉藤の言葉が、第二ラウンドとして早速破られるのは…
あともう少しのコト。






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