斉藤受

□PUNCH
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――いつも貴方は、なかなか口にしてはくれないから。

…ちょっと不安になったりすることもあるんだっつーの。
少しは俺の気持ちも考えてくださいよ…。
…って思いつつも、貴方の顔を見ると何も言えなくなってしまう俺だけど。


「ねぇ、鴇さん…。俺のこっいったぁぁあああああ!!」
「…黙れうるさい」

もう…いつもこれ。
俺のこと本当に好きなの?って聞こうとしただけで、拳骨喰らわせられた。
ホントにイタイ…。

「うー…殴んないでくださいよぉ…」
「…お前が変なこと聞くから」

…変じゃないし。
そりゃ、不安になってもしょうがないだろ?
…もし、鴇さんが俺の事を好きじゃなかったら。
この二人でいる時間は…無意味になっちゃうじゃんか。

「…拗ねるな」
「拗ねてないっスもん…!ただ、俺はっ…」

…俺、は。
ただ、貴方の気持ちが知りたかっただけなのに。
それに、気持ちったって…全部じゃない。
全部教えて欲しいなんて言ってねぇし。
――ただ、俺をどういう風に思っているのか、知りたいだけなのに。

俺が欲張りなだけ?
俺が鴇さんのことを好きすぎるだけ?
俺だけなの…?



「……っ!?」
「…鴇さんのバカっ!!」

…鴇さんの前で泣いちゃったし。
男なのに恥ずかしい。
ていうか、ある意味鴇さんの前では泣きたくなかった。

「……目、瞑れ」
「…やだぁ…」

…絶対殴られる。
殴られなかったとしても、絶対鴇さん怒ってる。
…バカって思いっきり言っちゃったし。

「…!」

ふっ…って鴇さんの顔が近付いて。
どうしよう、て思った…ら。


「…?」
…目の前には、瞳を閉じた鴇さん。
…そして…唇に柔らかい感触。

それは、触れるだけで離れて行った。

「っ…!」
「…だから目を閉じろって言ったんだ」

…キス、するから。

「鴇、さぁん…」
「…余計なこと言ったらぶっ飛ばすぞ」

……これが答えだ、と。
ぼそっ…と聞こえるかどうかぐらいの声で。



…あぁもう。

…大好き、鴇さん。



だからお願い、さっきの「バカ」は取り消して!





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