斉藤受

□Sigh
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「あー…なんだここ」
「…幽霊屋」
「ストォォォップ!!それ以上言わないでくださいッ!」

――AAAの三人は、ゲームに挑戦しているところだった。
指定場所に行ってみれば、…どう見てもそこは幽霊屋敷のような場所。
中は真っ暗で、身動きすらとりにくい。

「こりゃこっちは不利だな…」
…こんなところに相手に隠れられてしまったら探すだけで終わってしまう。

今回のAAAは、AWAY側。
HOMEの奴らからMDを奪うのは正直、力量等関係なく難しいだろう。

「…始まる」
「えぇッ、もうっスか!?」
「…お前それ毎回言ってねぇか?」

いいから中入るぞ、と中条が促せばもう涙目状態の斉藤。
…こんな状態でよく今まで残れたものだ。

「うわぁあ…ホント真っ暗じゃないっスか…」
「足元気をつけろよお前らー」
「うおぉおお!!」
「言われた傍からお前は…斉藤」

ズボッ、と音と共にどこかの穴に足を突っ込んだ斉藤。
はぁ…と溜息を洩らしながら、鴇が手を差し伸べる…と。


「…斉藤ッ!!」

「え…?」
「ッ…くそ!」


…穴の暗闇の奥で、何かが光ったのを中条が見つけ。
すぐに応戦しようと思うも、…斉藤の足が掴まれたのだ。

かろうじて手を掴んでいた鴇は、斉藤をこっち側へ引っ張ろうと力を込める。
…だが、向こうも引く気はないらしく、斉藤は両側から引かれてしまう。

「っ、鴇さん…離して!」
「駄目だ!離すな美柴!」
「斉藤……ッ!」



“大丈夫”。


――鴇には、ハッキリと見えた。

斉藤の口が、そう動くのを。



「……ッ」

…それを、信じて。
鴇は手を離した。

暗闇へ溶け込んでいく斉藤。
それを苦しそうに見届けて、鴇は息を飲んだ。

「!…美柴ッ、何で離した!!」

ガッ、と美柴の肩を掴んで。
鋭い剣幕で叫んだ。

「……大丈夫だ、と言ったんだ」
「あ…?」



「あいつが『大丈夫』と…言ったんだ…!」



「……美柴」

…普段見せないような、苦しそうな顔。
それを見た中条は、状況を受け入れることにした。

「…そうか。――じゃぁ、俺達も…」

――追うか、と言いかけたところ。






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