FL:HalloweenNight

□8:defeat
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日射しが柔らかい。
夕暮れ時には、暑さを感じなくなった。
夜には鈴虫の声が聞こえる。
秋はもう目の前。

平和だなー…。

時間がゆっくりと流れているように感じる。
アパートの屋上は施錠されているため、邪魔は入らない。

「だっ、だから…っ、俺は何も知らないんだよっ!」
「……。」

醜い。
目の前の男さえ消えれば、この空間は癒しになる。
とはいえ、簡単に殺すわけにはいかない。

「知らないわけないでしょ。誰に雇われたの?他に関係者は?」
「……。」
「言えるわけっ、ないだろっ!殺されるちまう…っ!」

こいつで2人目。
9月前半に入ってから、2人も不法侵入。
鍵をかけ忘れたことが原因とはいえ、頭の軽そうな雑魚が手に入った。
大きく構えているのも悪くない。

「私が殺さないと思うの?」

小馬鹿にした口調。
私が同じことをされたら、頭に血が上るだろう。
いや、捕まった時点で舌を咬んで死ぬ。

「ひぃっ!ささ、さ、っSAI様っ!」

目の前の生爪を剥ぎ取る私ではなく、SAIに命乞い。
SAIは仲間。
その意識が高いのだろう。
もしくは、SAIが反乱軍の上層部にいた。

「……。」

沈黙を貫く。

正しい選択ね。

この場で何を言おうが、私の信頼は得られない。
ひたすら傍観者に徹している。
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