FL:これが私の生きた道。

□4:Departure from the my world.
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美少女が去って、公園の中は私達2人だけ。
やっぱり青は助けに来ない。


「怖い?」
「…はい。」
「大丈夫。殺したりはしないから。多分ね。」
「……。」


脅されてんだか慰められてんだか全くわからない。
何とか逃げようと思考を巡らすも、笑顔とは裏腹にたくましい二の腕は私の退路を断つ。


…逃がして、くれないかな…?


美少女よりは話を聞いてくれそう。
私の知る限りの事情を話せば何とかなるかもしれない。
淡い期待に、体を捩って顔を向き合わせる。


「…あの…。」
「ん?」
「…逃がして、もらえませんか。」
「……。」
「……。」


やっ、ぱり…ダメだよね。


本気で期待してる訳じゃないけど、男性を見上げながら瞳で必死に訴える。
不適な笑みが黒縁眼鏡越しに見える。
眼鏡だと思ってたのはサングラスで、瞳の色が紺色に見える。


似てる…。


青と同じく、青い瞳。


でも、違う。


青は透き通る、美しい瞳。
吸い込まれそうで、見つめ続けるのは怖い。
だけど、この男性の瞳は見つめ続けられる。
答えが返ってくるまで、私はただ見つめ続けた。


「……。」
「…わかった。」
「へ?」


満面の笑みを作ると同時に、体を締め付ける力は一気に無くなった。


「え゛っ、あのっ、本当に…?」
「女の子のお願いは断れないんだよなぁ。」
「……。」


本当に逃がしてくれるのか、離した腕をひらひらと振っている。
信じるのは危険な気もするけど、今を逃したら美少女に殺されるかもしれない。


「……。」
「……。」


唾を飲み込み、ゆっくりと後退する。


「気を付けて帰りなよ。」
「…ありがとう、ございます。」


ぺこりと頭を下げ、向きを変えて走り出す。


…あっ!


「あのっ。…あの、明日の昼に、貝塚の丘に来てください。」
「……。」
「逃げたりしません。むしろ、話がしたい…です。」
「わかった。」


再びお辞儀をして、今度は振り返ることなく公園を後にした。
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