備品室

□末っ子× 長男=?
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末っ子と長男は、相性が良いらしい。















夕方の生徒会室。
2年の綾部の隣には後輩の愛が座っている。
部屋には2人の他誰もいない。





「あーやべ先輩っ」

「なんや?」





愛は椅子を動かし体を綾部に向ける。
その顔はどこか嬉しそうな顔をしていた。





「もうすぐ、夏休みですね!」

「…まあ、そうやな」

「夏休みといえば、お祭りですよね!」

「…まあ、そうやな」











「2人で行き「行かへん」







「ええ〜!!」





言葉を遮り即答された愛は眉を下げる。
だがあっさり引く愛ではない。





「なんでですか!?」

「なんでって、付き合ってもないのになんで2人やねん」

「え、じゃあ付き合ってください」

「なんでやねん!
大体なあ愛、アンタとは絶対合わへん!!」





綾部は顔を赤くしてツッコむ。
愛はしょぼんとする。







「綾部先輩のために浴衣買ったのに…」

「……」







愛が涙声でぽつりと言う。
潤んだ目はしぱしぱと何度も瞬きをする。








「先輩に見てもらいたかったのに…」

「……わ」

「わ…?」







綾部が愛の頭を優しくなでる。







「わかったから、泣くなや」

「……いいんですか?」

「ったく、しゃあないなぁ…」







その優しさに愛は笑顔になる。
やはり世話焼きの綾部だ。







「綾部先輩、だいすきっ!!」

「っ!」





愛は綾部に抱きつく。
慌てて綾部は愛を自分から離すと
かばんを無造作に取った。





「あほかっ!俺はもう帰る!!」





耳まで真っ赤な綾部の後姿を
見て、愛はクスリと笑った。











「先輩、知ってます?」

「…なんや」











綾部が振り向く。

2人の目が合った。

















「末っ子と長男って、相性良いんですよ」











末っ子×長男=らぶ…?



(先輩、いい加減認めましょうよ)

(な、なにをやねんっ!?)





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