備品室

□いたずら
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最低なアナタに恋をした















「愛ちゃん」

「ま、舞苑先輩っ?!」









愛は不覚にもときめいてしまった。





「どうしたんです、その格好?」

「ああ、コレ?なんか皆テンション上がっててさ」

「へ、へぇ」





今日はハロウィン。
東高のヤンキーは皆仮装をして騒いでいるらしい。
そして舞苑の格好。
ドラキュラである。
色白で繊細な顔の舞苑にはピッタリのものであった。





「あ、そうだ。愛ちゃん」

「は、はい」





その姿に頬を染める愛。







「トリックオアトリート」







お菓子は十分手提げに入っている。
しかし、恋の相手はドラキュラ。
乙女心がうずくのも可笑しくない。





「…お菓子持ってないんです」

「ってことは」

「いたずら、ですか?」





少し胸の鼓動を速まらせて、悟られないよう不安げに聞く。





「な、何でもどうぞ」

「いいの?」

「…はい」





愛に近付く舞苑。
思わずきゅっと俯く愛。











スッ











「………何ですコレ」

「ローソクと縄です」

「………」

「いたずらしてください」









いたずらされたい想い人



(お菓子をくれないならいたずらしてください)

(…馬鹿なんですか?)

(いたって真面目です)





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