ゆるりゆらり。

□居残りも
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もも色に染まる放課後の教室…













「悠太〜こんなの終わんないよ〜」





幼馴染の愛は机に突っ伏す。





「愛は自業自得でしょ」





居残りをさせられている愛に「一人は寂しい」と、半強制で俺も残らされた。





「だって〜昨日他の宿題もあって終わんなかったんだよ」

「それって今までの宿題ためてたのが悪いんじゃない?」





むくれる愛に俺は本を読みながら言った。





「………ずるい」

「何が?」





ポツリと愛が言った言葉の意味がわからない俺は本から顔を上げる。





「なんで私だけプリント頑張って悠太は呑気に本読んでんの!!」

「………愛、そんなこと言ってたら俺帰っちゃうよ。何で俺がここにいると思ってんの?」





大体俺は最初からここにいる意味がないんだよ?






「それは…ダメ」






そんな悲しそうに言われたら帰れるわけがない。





「ハァ…わかったから早く終わらすよ」





仕方ないから教えたげる。なんて言ったら急にヤル気を出した。





「ハ〜イ悠太先生!!」

「どこわかんないの?」

「えっとね、ココとココとココとぉ…」





なるほど。ほとんど全部ね。





「じゃ、まずここは…」



























「お、お、終わったぁ〜!!」

「わー、よかったね」

「何その棒読み!」





一枚のプリントにどれだけの時間をかけるんだろう。飲み込み悪すぎ…。





「じゃ、帰りますか…」

「うん!ありがと悠太!!」

「どういたしまして」





愛の頭にポンと手を乗せる。
俺は一つ後ろの机にかけたカバンを肩にかけた。





「やっと帰れる〜!」

「………」





座って帰り支度をしている愛。

散々付き合わされたんだ。何もなしなんて不平等、だよね…?





俺は後ろから顔を近付ける。











ちゅ





小さいリップ音が2人だけの教室に響いた。
呆然とまだ熱の残る額を押さえる愛











「っ…!!」

「愛、真っ赤」

「ゆ、悠太、い、い今、何…」

「…きす?」







愛が可愛いからつい意地悪したくなる。







「そ、そういうのは本当に好きな人とでしょ!」











「じゃ、これはセーフだね」





帰ろっか…。そう言って俺はドアに向かう。







「え、ちょ、悠太!今のセーフって…!?」

「バカな愛には教えない」







ちょっと意地悪に笑ってみたり…

















「悠太!ねえ、悠太ってば!!」















居残りもたまには悪くない。




(なーんて思ってみたり…)





     ゆるーり、ゆらり

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