ゆるりゆらり。
□A tall girl
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「ゆうたー、お腹いたいー」
学校への通学時、祐希は兄の悠太に後ろから抱きつく。
「祐希歩きにくいよ」
「だってお腹いたいんだもん」
「それは朝からあんなに牛乳飲むのが悪いんじゃない?」
「…だって仕方ないんだもん」
「 ? 」
するとそんな2人の横を通り抜けるかすかな風。
女子生徒の自転車が通ったのである。
「あ」
祐希はその自転車の少女を目で追う。
兄もそれに気付いたようだ。
「あの人がどうしたの?」
「……いや」
すると
「あっ」
カシャン
その自転車の少女が、前方から来た自転車とのすれ違いざまにこけたのだ。
タタタ
祐希は少しゆっくりと、しかし真っ直ぐに少女のもとに走っていった。
「…?」
「あ、の」
「え」
祐希がその少女に手を差し出した。
少女はそれに手を重ねると立ち上がった。
「ありがと」
「…しんちょう」
少し目線を上にやる祐希の言葉に少女は苦笑いする。
「あ、わたし高いでしょ。かっこ悪いよね…」
「じゃなくて…」
きょとんとした顔の少女にきっぱりと宣言する。
「いつか超えてみせますから」
A tall girl
(だから牛乳…バスケとかしてみる?)
(それはやだ)
ゆるーり、ゆらり