絶対束縛主義


□後1
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とてつもない早さで学校を出る愛里を、詩乃は呆然と見ていた。
普段、愛里はそんなに行動が早い子ではない。どちらかと言うと遅い方だ。マイペースと言うのが一番正しいのかもしれない。
ところが、お兄ちゃんと呼んでいる人に関する事だけは違う。
行動が早い改め突発的になっている。
あの時は何故あんなに怒ったのだろうか。普段とは全然違う。

詩乃がいろいろ不合理な点を考えていると、すぐ隣で「決めたっ!!」という大声が聞こえた。
明美が満足げに笑っている。
明美は大抵突発的だから、今更驚くことはない。
詩乃はいたって普段通りに、呆れながら「何を?」と訊いた。
そうしないと明美は訊いてこない訳を追及してくる。
詩乃にとっては結構これが面倒くさい。
含み笑いをしてから「聞いて驚くなよ〜」と勿体つけているのも面倒くさい。
しかし、もちろん詩乃は明美のことを嫌って等いないし、これこそが彼女の持ち味だと思っている。

「愛里の恋のお手伝いをしまっす!」

いきなり告げられる宣誓。
やはり突拍子もない。
これも彼女の持ち味の一つだ。
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