絶対束縛主義


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昨日家に帰ってから明美の訃報を聞いた。
信じられなかった。
あの元気な明美が死んでしまったなんて。
昨日も、居なくなるまでは楽しくお喋りしてたのに。
信じたくなかった。
だから、私は今日、学校へ行く。
教室に入ったらいつもみたいに明美が「おはよー!」とか言いながら抱き付いてくるかもしれない。
けれど一応、机に花が添えられているのを見る覚悟もしておく。

1人で歩いていると、そんな期待と不安で泣き出しそうになる。
泣いてしまうのは多分、不安の方が遥かに大きいからだ。
期待している光景は現実に見れないだろうことを分かってないなんて、そんなことはない。

「おはよー。
詩乃、今日は登校するの遅めだね?
私と登校時間被ったのなんて初めて。」

気付いたら後ろに愛里が立っていた。
私に追い付こうとして走ってきたのか、少し息が上がっている。
1人で居たから何とか踏みとどまっていた涙が、愛里を見た瞬間に溢れ出した。
どうしよう、友達が死んでしまった。
もう会えない、仲良しなのに、もっと喋りたいのに。
1人で思っていたことも口から零れる。

「友達? 誰ソレ?」
「え…。」

愛里の言葉で涙が一瞬で引いた。
愛里の所には連絡網が回らなかったのだろうか。
誰かが要らない気を回して伝えなかったのかもしれない。
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