絶対束縛主義


□後5
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学校に行ったらびっくりすることだらけだった。
1つは体育器具庫で殺人があったこと。
2つはそれが金属バットでの撲殺ということから他殺だということ。
死亡推定時刻からいくと、犯人が生徒である可能性も高いということ。
3つは、「秘密の場所で待ってるから」と書かれた愛里からのメール。
送られた時刻を見ると1時間目の終わりあたりだったけど、気付いたのは学校が終わってからだった。
メールが送られた時間からずっと待っているんだったら、かなりの間待たせていることになる。
急いでその秘密の場所、幼い頃に2人で秘密基地と呼んでいた廃工場に行く。
息を切らしながら重い扉を開けると、隅っこに涙目の愛里が居た。

「お兄ちゃん!
やっと来てくれたっ…!」
よたよたと力無い走りでこっちに近寄る。
何か大変なことが愛里にもあったようだ。

「愛里、お前大丈夫か?
何か学校で殺人があったって聞いて、心配してたんだぞ?」

「うん、私は大丈夫…。」
返事を聞いて少し安心したけど、まだ泣き止んではいないようだ。
鼻を啜る音がする。

「だけどね、その…殺されたって言われてるのは、私の…友達なの…。」

確か先生達は被害者の名前は真宮明美と言っていた。
どこかで聞いたことがある名前だと思ったんだ。
まさか、愛里の友達だとは思わなかった。

「ねぇお兄ちゃん、私はいったいどうすればイイの!?
一瞬で友達が、親友が居なくなったら、何をいたらイイの!?
もしかしたら次は私が死ぬの!? 死んだら2人に会える!?」

床に座り込む愛里を見て、何を言ったらいいか、言ってもいいか分からなくなった。
愛里の恋を叶えるためって言って俺の所に来た子だ。
きっとすごく仲がよかったんだろう。
しかもよく事情は分からないが、その子以外にももう1人亡くなっているらしい。
それを慰める言葉なんて1つも出てこない。
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