絶対束縛主義
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「はいはいっ!
私、コイバナありまーすっ!」
「よし来た!さっすが愛里!」
勢い良く言うと、いつも2人とも良い笑顔を見せてくれる。
それを見て嬉しくなるのが、何だか恥ずかしい。
「また例のお兄ちゃんの話?」
例のお兄ちゃんと言うのは、今現在私が好きな相手のこと。
幼なじみで、小さい頃からよく一緒に遊んでもらっていた2つ年上のお兄ちゃん。
その頃の呼び癖が残ってて、未だにお兄ちゃんって呼んでる。
幼稚っぽいって言われても、今のが一番しっくりしてる気がするから、今更呼び方を変える気もない。
少し照れながら頷く。
「本当に愛里はお兄ちゃん好きだよねー。受験の話とか、結構私には強烈だったんだけど。」
「あー、「お兄ちゃんと同じ学校に行くために頑張るの〓」っていうのね?」
詩乃が妙に声を高くして言う。
どうやら私の声真似らしい。
はっきり言って、語尾のハートマークの強調と、乙女っぽい手のフリが気持ち悪い。
「その言い方恥ずかしい!
止めてよー。」
「でも愛里、そういう言い方してたよ?」
ねぇ、と明美が詩乃に同意を求めると、詩乃も笑いながら頷いた。
そんなことされると、事実のような気がしてしまう。
嘘だぁと言ってみるが、内心そうも思えない。