絶対束縛主義
□後1
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「なんか私も相思相愛な気がしてきたからさ〜。
これは何かきっかけがあればくっつくよ、絶対。」
ニヤニヤしながら話す明美を横目に見る。
いつも通りなら、このあと言うことは大体予想できる。
とりあえずお節介の極みを目指してくるだろう。
「お兄ちゃんって人に愛里の気持ち伝えればイケると思わない?」
…ほら来た。
本当にお節介を極めている。
普通そんなことは思っても本人に直接言って応援するだけで、自分が代わりに伝えようなんて思わない。
が、明美はする。
きっと愛里の性格的に自分から告白出来ないことも考慮しているんだろうが。
どうやってと訊くと、よくぞ聞いてくれましたと言わんばかりの満足顔で、愛里が使っていた机の中を探った。
「コレ、使うの♪」
誇らしげに天に掲げられた手にはピンク色の携帯電話が収まっている。
愛里のだ。
お兄ちゃん登場にテンションが上がりすぎて、携帯のことを忘れてしまっていたようだ。
「これを使って、お兄ちゃんに愛里の気持ちを伝えます!!」
もう一度宣誓したかと思うと、今度はすぐに電話帳ボタンを押して男の名前を探す明美。
数十秒で全てを見終えて、困り始める。
「どうしたの?」
「…男のアドレスが2つあるんだけど。」
愛里って男友達居たっけ、と本気で困り出す明美に一言。
「名字が同じのは愛里のお父さん。」
…全く先が思いやられる。