絶対束縛主義


□全4
2ページ/8ページ

「愛里知らない…?」

何のことだろうか全く分かっていない顔をしている様に見える。
言うのは気が引けるけど、このまま知らないでいるのもダメな気がする。
学校に着いて初めて知るより、私が今ここで言ってしまった方がちゃんとフォロー出来る分ショックは少ないかもしれない。

「…昨日、明美が…、」
「ああ、死んじゃったみたいだね。」

まるで、それがどうかした?と言いそうな、そんな軽い言い方だった。
明美の訃報をちゃんと知っていた。
のに、この態度でこの言い方。
なんか変だ。眉を潜める。

「だって、明美死んじゃったんだよ!? もう二度と会えないんだよ!? 話せないだよ!?
ちゃんと解ってるの!?」
「何でそんなに感情的になってるの?
別にいいじゃない。明美なんて子は最初からいなかった。 私達はいつも2人で遊んでた。
そう考えて、忘れちゃえばイイよ。」

何かおかしい。愛里が気持ち悪い。
いつもと違う、それは確定的だった。
そんな考え方をする子じゃないし、そんな考え方おかしい。狂ってる。

「それにさ、明美って他殺だったんでしょ?
誰かに殺されるような人は悪い人だよね。 そんな悪い人のコトは忘れちゃった方がイイと思うけどなぁ。」
「何言ってるの!?」

いつの間にか怒鳴っていた。
友達にこんな態度を取るなんて初めてのことだと思うけど、考えて物を言ってられる程に私の神経は図太くない。
昨日までの明美…生きていた明美が頭の中で写し出されて、更に明美に対する思いは強くなる。

「 明美はスゴくイイ子だった!
本来、殺されるような子でもない…。
いつも一緒に居たんだから、それくらい分かるでしょ!?」

愛里の肩をがっちり掴んで伝えてみる。
けれど愛里は私の言葉を全部押し退けるようにため息をひとつついた。
あまりに想定外の反応で、こっちの方が次の反応に困ってしまった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ