絶対束縛主義


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「ねぇお願い、答えて!!
私一人じゃ何も出来ないよ!」

「愛里、とりあえず落ち着け!」

自分も床に座って愛里の肩を支える。
何か出来るかと考えて、自分の出来る精一杯の案だ。

「落ち着けるハズないじゃない!
みんな死んだんだよ!?
お兄ちゃんには関係無いから無関心で居られるかもしれないけど、私は違うの!!」

言葉にかなり棘がある。
愛里は本来そういうことを言う子ではないけど、本当に傷付いているからそう言っているんだろう。

「…確かに俺は関係無くて、愛里より関心があるわけじゃない。
けど、これだけは分かるんだ。
愛里は、絶対死んじゃいけない。」

何で、小さく呟く声が聞こえた。
少しだけ、落ち着いてきているんじゃないかと思う。

「愛里は愛里だけのものじゃないんだ。
愛里のコトを想ってる人が、支えてる人が、周りにいっぱい居る。
その人達の為にも、絶対死んじゃいけない。」

頭を撫でてみると大分落ち着いたようで、頭を俺の胸に預けてきた。
こんな状況で不謹慎だとは思うけど、やっぱり照れる。

「…ねぇ、一つ聞いてもイイ?」

顔は見えないけど、もう涙は止まったようだ。
元気のない声ではあるけれど、しっかり聞き取れる。
何?と訊くと、今度は少し恥ずかしそうな声で訊かれた。

「私のコトを想ってくれてる人に、お兄ちゃんは含まれてる?」

勿論含まれている。
頭を撫でながらそうだと伝える。

「じゃあ、お兄ちゃんは私の味方?」

えらく念を押してくるなぁと思い微笑する。

「当たり前だろ。
小さい頃からずっと一緒に居るワケだし、今更他人のフリなんて出来ねーよ。」
「嬉しい…。
ありがとう、お兄ちゃん。」

お礼言われるようなコトは言ってなし、そんな風に言われるとかなり照れる。
本当に不謹慎だけど、今日の愛里はすごく可愛い。
そう言えば、今愛里が着ている白いワンピースは初めて見るものだけど、色白の愛里にとても似合っていると思う。

「ねぇお兄ちゃん、もしかしたら知ってるかもしれないけど…。」

顔を上げた。
さっきまで泣いていた後は頬の赤色にしか残っていない。
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