24時 キラ便
□渡してなるものか!※
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緑と水の豊かな王国オーブに、隣国ザフトの王子アスランは今日も訪れていました。
少し長めに伸ばした藍色の髪を後ろに束ね、豪奢な装飾を施した純白の衣装を身に纏って颯爽と白い馬を駆る姿は、まさに白馬の王子そのものです。
アスランは毎日のようにオーブ国に来ていました。というのも、このオーブ国にはアスラン王子の幼なじみであるキラ王子がいるからです。
ふたりはとっても仲良しで、何をするにもいつもふたり一緒でした。
ただ、キラ王子は普通の王子とはちょっと変わっていました。それは・・・・
――渡してなるものか!――
「キラ!俺だ、アスランだ。入ってもいいかな?」
部屋のドアをノックしながら、アスランは中にいるはずのキラに呼びかけた。
「あ・・・アスラン!どうぞ入って」
キラの声を聴いてから、アスランはドアを開けて部屋に入った。
部屋の奥の窓際に、淡いピンク色のドレスを纏って佇む幼なじみがいた。
窓から注ぐ陽の光を浴びて輝く栗色の髪は、絹糸のようにしなやかだ。顔の輪郭に沿って伸びているサイドの髪が、そよ風に揺られてサラサラとなびいている。
飴玉のようにまんまるで深い紫色の大きな瞳をクリクリさせて、アスランを窺うキラの姿はまさに少女そのものだった。
「ああ・・・キラ姫。今日もカワイイね」
愛しい幼なじみの姿にアスランはうっとりと見惚れた。