24時 キラ便

□ふたりの時間※
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顎の位置まで伸ばした艶やかな藍色の髪に、廊下ですれ違う女子生徒の全員が振り返るほどの美貌。少し細身の体格にスラリと伸びた長い足。それがキラの恋人であるアスラン・ザラだった。
端整な顔立ちをよりいっそう際立てるエメラルドの瞳は、今は冷ややかな光を放っていた。

「アスラン・・・・お前、生徒会はどうした?」イザークが負けじと張りのある声で訊いた。
「あんなもの、5分で済ませてきた」
「ご・・・仕事しろよ。生徒会長」
「フン、生徒会よりもキラの身の安全を守ることが、俺にとっては大事な仕事だ」
自分のものだと言わんばかりに、キラを後ろから抱き締めてふたりに見せつける。
「ア・・・アスラン」
「さ、行こうか。キラ」

キラの腰に手を回して、アスランはキラと図書室から出て行こうとする。
イザークもディアッカもそれを黙って見送るので精いっぱいだった。

「ああ・・・・ふたりとも」
図書室の出入り口まで来て、アスランはふたりの方へ振り返る。
「明日、話したい事があるから放課後あけとけよ」
((ひいいいいいいいいいぃ))

にっこりと微笑んだアスランの背に、真っ黒いカオスが蠢いていた。(注:イザーク&ディアッカビジョン)

おどろおどろしい光景に様子を窺おうとする命知らずな外野は、もはや一人もいなかった。


アスランはキラの腕を掴んで、廊下をズンズンと歩いていく。
「ア・・・アスラン、待って、待ってよ」

キラが必死に呼びかけるのも無視して、アスランはひたすら廊下を突き進んだ。
キラはアスランの向かう先を見ようとして視線を上へと移す。向けた先に、場所を示す札が見えた。


―――保健室。


「えっ、ちょっ・・・アスランどこに!?」
「決まっている」
アスランは保健室のドアをバンと思い切り開けて、キラを部屋の中へ投げた。
「うわっ」キラが体勢を崩して床へ転がる。

アスランはドアの鍵を素早く掛けると、キラの体を抱き起こして、ベッドに押し倒した。
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