お題アスシンBOOK

□寒い夜
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「シ〜ンご飯できたぞー・・・ってうわ!寒ッ!!!何だってこんな寒いのに窓全開にしてるんだお前はっ!?」
晩ごはんの仕度ができたのを知らせにシンの部屋に来れば、この冬の寒い夜に暖房もつけないで窓の外を眺めるシンがいた。
「アスランさん!見て見てっ!!」
寒さに鼻の頭を赤くさせて、窓の外を指で指す。誘われて窓の方へ歩み寄った俺は、シンの後ろに立って外を眺めた。
「・・・・・・おぉ・・・雪かぁ」
寒さに堪えながら覗けば、夜の闇空から舞い降りる白銀の結晶たちが、イルミネーションに染まる街を飾りつけようとしていた。
「どうりで寒いはずだな・・・」
そう言って吐く息も白い。
「綺麗だなーっ///」
凍てつくような寒さなど気にもしないで、シンは降る雪をじっと眺めていた。
降りはじめてどれくらい経つのか、人の通らない歩道やビルの屋上は白銀の絨毯がもうすぐ完成しそうだった。
降る勢いもなかなか強く、数時間も降りつづければ完璧に積もるだろう。
そうなれば、明日の朝はいつもより早めに起きなければいけないな・・・。
「シン・・・ご飯食べよう」
とりあえず俺は翌朝のことよりも、晩ごはんが冷めるのを心配してシンに声を掛けた。
「ぅん・・・もうちょっと」
気のない返事が返ってくる。
「・・・・ご飯冷めるぞ」
「もうちょっと・・・もうちょっとだけ・・・・」
窓の外を眺めつづけながら呟いたシンは、真っ白な雪がかける魔法に嵌ったかのように、ただひたすらに深紅の瞳に舞い散る雪の姿をとどめていた。
「シン・・・・」
「・・・・・」
呼んでももう返事もない。


完全に魅入られてしまっていた。





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