テニス駄文
□手の甲に(忍岳)
1ページ/1ページ
Tinker様の素敵なお題、【キスにまつわる10のお題】より。
『手の甲に』
【かくしごと】
“寒いから。”
そう言って、俺の手を握ってきた侑士の手を取り、甲に口付ける。
「岳人のキスっていっつもそこやんなぁ」
「だって俺、侑士の手が好きなんだから仕方ねぇじゃん」
「手ぇだけなん?なんや寂しいなぁ…」
寂しいとか言いながら笑う侑士の顔を見つめながら心の中で毒づく。
“屈んでもらわなきゃ頬にすら届かねぇんだよバーカ”
本当は俺だって侑士がしてくれるように額とか頬とかにもしてぇって思うけど、その度に屈んでくれ、なんてお願いすんの、何かムカつくじゃん?
だからそんな事、ゼッタイ言わねー。
「体の一部だけとは言えこの俺に好かれてんだぜ?光栄に思えよな!」
「何やの。その跡部みたいなセリフ」
「あんな天然ブルジョアと一緒にすんな」
「はいはい…」
本当は、どこもかしこも好きだけど、やたら背が高いのだけは、どうしても悔しいから。
明日も、明後日も、その次の日も。
ゼッタイに手にしかしてやらねぇんだからな。
―…まあ、侑士が“どうしても”ってお願いして自分から屈んできたら話は別だけど?