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□隣と友達とボクと
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『席替え』
それは学生のボク達にとって嬉しい言葉の一つだ
一ヶ月に一度の大チャンスでもある席替えは教室全体がドキドキとワクワクとソワソワと色々騒がしくなる
好きな人と隣になれるかもしれない
それは小さな希望である
勿論
そんなボクも例外でわなく楽しみにしながら今までを過ごしてきた
「なーなーオレ一番後ろがいいなぁ」
トリコが目を輝かせながら言った
「お前…寝るつもりだろ」
「…ま、ま、まさか〜」
ハハハと渇いた笑いをこぼすトリコ
明らかに図星をつかれ、嘘をついた
「んな事いうココはどこの席に座りたいんだよ」
「ボクは…どこでもいいな」
トリコの隣なら、最後の言葉は口にしない
だって今のボクたちはただの友達
「よし、席替えするぞ」
その呼びかけとともにバラバラだった生徒は自分の席へと戻った
「くじを適当に取ってくれ、席の番号は適当に書くから1番と2番だから隣とか無いからな」
「「「えぇええぇぇ」」」
「文句があるなら席替えは中止」
教室中の大ブーイングを抑えたのは"中止"という今誰もが聞きたくない言葉だった
「はぁ…」
トリコと隣になる確率は限りなく低い予感がする