*沖土(原作)*
□ジャックナイフ
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「副長が人質にとられたぁぁぁ?!」
昼下がりのどこか気だるい空気の漂う屯所に、俺のうわずった声が響いた。
目の前には黙って頷く二人の若い隊士が立ちつくしているが、どちらも腹部に傷を負っているようで、床にぽたぽたと赤い滴がしたたり落ちている。
今すぐ手当てしなければ命に関わる程ではないが、浅い傷でないのは見て取れる。
しかし今はそれどころではないのだ。
「君、先月入ってきた柏木くんだよね。一体何があったのか、説明してくれるかな?」
「はい・・・・。」
いかにも利発そうな目をした隊士が申し訳なさそうに顔を上げる。
「僕たち、今日は午後一で副長と市内の見回りに当たっていたんです。