*雑食*

□君は僕の・・・
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 猫たちもまどろむ、昼下がりの瓦屋根の上。柔らかな四月の陽光が黒光りする瓦をほんのりと暖め、気を抜けば睡魔に負けてしまいそうになるぐらいに心地が良い。
否、自分の心をまどろませている要因はそれだけではないのだけれど。

「全蔵、眠たいのか?」
 寝ぼけているのだろう、いつもより鼻に籠もった声。
胡座をかいた俺の足の上に横たわりながら、澄んだ瞳が見上げている。
 いつもより眠たげに瞼をおろす少女の、白い頬に思わず手を伸ばした。
「ん?あぁ・・そんなこたねぇよ。」
「ふふ。また下手な嘘を付きおって。」
 俺の手から逃れるように、けれどその身を俺の腹部にすり寄せるように、阿国が足の上で寝返りを打った。暖かな体温をもった、軽いけれど確かな重みが移動する。
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