総悟おめでとう!

□車の中で隠れてキスをしよう《後編》
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 その言葉に従い若い隊士たちを広い路地まで退避させて屯所に連絡を取ってから、俺は再び先ほどの路地に戻った。
時間にして、3分とかからなかっただろう。
しかし、先ほどまで浪士たちが控えていたはずの路地は血の海へと変わっていた。
風のないせいで、むっとするほどの血のにおいが辺りに立ち込めている。
「お前、もう・・・・・。」
 その中心に立ち尽くす、薄茶色の髪にもところどころ赤い血が沁みている。
傍によれば、珍しく肩を上下させて息を荒げていることに気がついた。
総悟の刀の腕が、組でも随一なことは分かっていた。
いつも手合わせしても、俺が負かされることの方が殆ど。
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