総悟おめでとう!

□*いつか*
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 それだけが理由ではなかったのだけれど、その夜の宴会を途中で俺は抜け出していた。
ちょうど入り口の裏手に当たる庭に面した縁側。
まだそれでも騒ぎの声は聞こえてきたけれど、人気のないそこはいくらかひやりとした空気に包まれている。
誰が裏の竹藪から伐りだしてきたのか_____だいたい想像はついたけれど____毎年この時期になれば道場の片隅に一本の若い細竹が現れる。
 先にも述べたとおり、ここに集う輩はお祭り騒ぎや行事の大好きな男が殆どだったから、数日前には色とりどりの短冊がこれでもかという程に細い枝にくくりつけられて風に揺れるようになる。
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