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高級なレストラン街。
クリスマスでもないってのに気取ったスーツを着ている男達が女の手を引いて街中を歩いている。
数多いその中の1人の男と私は肩がぶつかった。
「失礼」
私は肩がぶつかった男にそう断ると、そのまま歩き出す。
いきなり、誰かに私が肩に掛けているバッグの中に手を突っ込まれ、私の体が傾いた。
「お前、まだこんな事してんのかよ」
振り向くと、そこにはさっき私が男から盗んだ財布を手に持っている幼なじみのキルアの姿があった。
「ちょ、私のお金!」
「お前のじゃねぇだろ、そこのおっさん!財布、落としたぜ!」
キルアはそう言って男を呼び止めた。
男は一旦自分のポッケを確認し、無いことに気付くとキルアに礼を言った。
…最悪だ。
「あーあ、あんたのせいで私の夕食代がなくなった」
「夕食ぐらい、俺が奢ってやるから」
「別に、いい」
私はキルアから離れようと、すたすたとまた歩き出した。
後ろから付いて来る足音がする。
「また盗むつもりだろ?
させねぇよ」
「金持ちに言われたくないね」
はっ、と笑って私は返した。
「そこの寿司屋でどうだ?」
その言葉で私が出来るだけ早く歩いてた足が止まる。
「あっちの焼き肉屋がいい」
3年振りの、懐かしい声でした。
*続く*